ピエタの話
学生の時に、とても大きくてカラーの写真付きの教科書を使った授業があり、そこにミケランジェロの彫刻がでかでかと載っていて、サンピエトロ寺院のピエタ像を見て、うっとりして、いつか見に行きたいと思っていました。
それで、1度だけ行くことができ、ピエタ像の前に立つことになりました。
あの、美しいマリア様が座って、亡くなったキリストをガッと抱きかかえている姿の作品ですね。
世界一美しい彫刻ピエタとミケランジェロの理想 : アートの定理
こちらのサイトを見て、「神のごときミケランジェロさん」という漫画があるのを知って、今読んでおります。
わかりやすく絵つきで説明してもらえて嬉しいということもありますが、とにかく、ミケランジェロが好き!という気持ちを共有できるのがグッドです。
ところで、私はピエタ像を見た時に、涙が出て止まりませんでした。
なぜ涙が止まらなかったのだろう、と時々考えます。
あまりにも美しいものを見ると、人は泣くんだなとその時初めて思いました。
それとともに、男性の、「理想の女性」というものを、ダダダーンと提示されて圧倒されたという気持ちになったのを覚えています。
男性にとっての理想の女性は、母であり、清らかであり、うつくしく、強い。このようにまで・・。という気持ちです。
でも、それは、女性にとっても、そうありたいという姿であって、違いはないように思いました。その時の人生のフェーズというものがあるので、今思うとちょっと不思議ですが、その理想の女性というものに遠く及ばない自分の無力に涙した、という面もあったと覚えています。
特に、あの美しい姿で悲しみをたたえつつ、ガッとものすごい力で成人となった息子を持って支えている、力というのでしょうか、しゃかり気なところを見せない、底知れぬ強さのようなものに心打たれた記憶があります。
今はそういう感受性も鈍っているし、曲がりなりにも母にはなったので、同じように涙することはできないかもしれませんね。
美しきマリア像からは、特に造形的にはますます遠ざかっているのにね( ´艸`)